2025年、この度宮内庁から発表された香淳皇后の活動記録は、完成までに実に17年を要した圧巻の記録集である。香淳皇后の生涯を公正に伝えることを目的としたこの実録は、宮内庁の公文書や側近の手による日誌、さらには数百に及ぶ資料のほか、30名の元職員への聞き取り調査を経て実現した。香淳皇后は戦前の激動の時代を生き抜き、その歴代の皇后の中で最も長寿を誇り、皇后としての在位期間は62年余りと最も長い記録を持つ。この皇后の名前「香淳」は、「拍号」と呼ばれるもので、「優雅」を意味する「香」と「情け深さ」を意味する「淳」が組み合わされ、その人柄を映している。まだ未公開のこの実録は、昭和天皇のおばとして、国民と共に歩んだその生涯を知るための貴重な資料であり、10月の公開が待ち遠しい。