昭和天皇は生涯を通じて香淳皇后だけを愛し続けたことで知られています。彼が一夫一妻制を貫いた背景には、自らの両親である大正天皇と貞明皇后が、側室の子として複雑な状況に立たされたという経験が深く影響していました。この経験は彼に深い悲しみを与え、そのため昭和天皇は香淳皇后との関係をとても大切にしました。昭和天皇と香淳皇后のご夫妻は、互いを「良宮」や「お上」と親しく呼び合うほどの強い絆で結ばれていました。彼らが手をつないで散歩する姿は、側近たちにも驚かれるほどでした。真面目で神経質な昭和天皇にとって、朗らかで聞き上手な香淳皇后の存在は安らぎを与えるものでした。子どもたちが女児ばかりであることに対して悪意ある声が上がる中でも、昭和天皇は「弟が三人いるから問題ない」と毅然と言い放ち、側室を求める声を一蹴しました。このように、妻だけを愛し、支え合ったお二人の姿は、国民の模範ともなるものでした。