田嶋春樹は、結婚して二年目の頃から妻のカノンに完全に尻に敷かれていた。会社の倒産で一時無職になった彼を見下すようになり、家事もほとんどせず、幼い娘の瑠璃の世話まで春樹任せ。義父から譲り受けた築四十五年の古い家に住みながらも、カノンは「この家は私のおかげ」と威張り続けていた。そんなある日、カノンが宝くじで一億円を当てる。すると彼女は態度を一変させ、「このボロ家はあげるから離婚して」と宣言。さらに浮気相手と豪華な生活を始めると言い放ち、娘の親権まで春樹に押しつけた。春樹は迷わず離婚届を提出し、家と土地の名義も正式に受け取った。ところが数か月後、元妻から突然の電話が入る。「宝くじのお金、全部なくなったの…助けて」。だがその頃、古い家の土地は再開発で高額売却が決まり、春樹は娘と新しい生活を手に入れていた。焦る元妻の声を聞きながら、春樹は静かに電話を切る。かつて見下していた「ボロ家」が、人生を逆転させる鍵になるとは、彼女は最後まで気づかなかったのだった。