老後の住まいをめぐり、人生の価値観が大きく揺らぐ出来事が起きた。65歳の山田夫婦は「持ち家こそ安心」と信じ、長年かけて手に入れた一戸建てで暮らしていた。しかし築30年を超えた家には、突然800万円ものリフォーム費用が必要になる現実が待っていた。一方、68歳独身の元数学教師・佐藤勝次は、25年間暮らした賃貸住宅を大家の都合で退去することになる。かつては「家を持たない自分は負け組だ」と思っていた佐藤だったが、蓄えてきた資産や利用できる制度を知り、考え方を変えていく。持ち家か賃貸か、それだけで人生の勝敗は決まらない。大切なのは、自分の暮らしに合った選択をし、老後への備えを続けることだった。二人の異なる人生は、住まいとは所有するものではなく、自分を支えるための「道具」であることを静かに教えてくれる。