「愛人が妊娠したから離婚してほしい」――竹吉から突然告げられた言葉に、涼子は耳を疑った。会社経営者である夫は、29歳の美人社員・ひろかが自分の子を妊娠したため、彼女を社長夫人として迎えることが責任だと言い放った。しかし、浮気をした側であるにもかかわらず、まるで自分が正しいかのような態度を崩さない夫に、涼子の気持ちは完全に冷めていた。「離婚は分かりました。ただし、私はあなたの会社を辞めます」その一言を聞いた瞬間、竹吉の表情が変わった。涼子は長年会社を支えてきた営業部のエース。彼女が退職すれば、会社への影響は計り知れないからだ。だが涼子の決意は固かった。元夫が社長を務める会社で働き続けることに意味はない。すでに新しい職場も決まり、人生をやり直す準備を進めていた。離婚成立後、竹吉はひろかとの結婚を社員たちに報告。しかし、そこで衝撃の事実が発覚する。竹吉が「29歳の美人社員」と信じていたひろかの実年齢は、なんと39歳だったのだ。周囲の社員たちは以前から知っていたが、本人が若く見られたい気持ちを尊重し、あえて指摘していなかっただけだった。さらに後日、涼子が妊娠したと知った竹吉は、「自分の子なのではないか」と勝手な期待を抱く。しかし、涼子はすでに新しい人生を歩み始めていた。お腹の子の父親は、離婚後に紹介された新しい仕事先で出会った男性だった。