その日は娘の結婚式だったが、夫の達也は寝坊していた。「早く来て！」私は慌てて電話をしたが、達也は「落ち着けって」と呑気な声で返した。その瞬間、娘の皆が電話を取り、「おい、何やってるの？」と一喝。達也は驚き、「え？」と声を漏らした。娘の晴れの舞台を何度も台無しにした彼に、私はもう我慢ならなかった。会場にて、「もう父親面しないでください」と娘から静かな絶縁の言葉。達也は愕然とし、誰にも相手にされずに座り込んだ。娘のことは私がしっかり見届けると決意し、最後に皆の手紙を読み上げた。それには、達也への期待を断念した、との内容が。涙をこらえながら、母子の絆を確信した私は、新たな一歩を踏み出した。