終戦からわずか四日後、白いワンピースを身にまとった一人の女性が特攻機の後部座席に静かに座り、満州の空を見つめていた。その女性、朝子は、夫・陸軍小谷富哲と共に、最後の特攻を決意していた。1945年8月15日、玉音放送が流れた後も、満州では戦闘が続いていた。ソ連が日ソ中立条約を破棄し、一方的に進攻を続ける中、日本人捕虜や民間人は略奪に苦しんでいた。そんな中、富哲は仲間を守るため、独断で特攻を決行することを決意。だが、その決意を妻の朝子に告げると、彼女は涙ながらに「私も一緒に行かせてください」と懇願した。朝子の強い思いに心を動かされた富哲は、最初は躊躇しながらも、彼女と共に特攻機に乗り込むことを決断。朝子が選んだ白いワンピースは、最後まで美しくありたいという彼女の願いだったのかもしれない。彼らの行方は不明で、特攻が成功したという記録も残っていない。彼らの愛と覚悟を乗せた特攻機は、満州の空に消えていった。