中村天風は、晩年ほど「増やす」より「手放す」ことが大切だと示唆しています。七十歳になって初めて、多くの人が気づくのは「もっと頑張ればよかった」ではなく、「あんなに無理をしなくてよかった」という事実です。人生後半を軽くする鍵は、六十代のうちに不要な荷物を降ろすことにあります。まず手放すべきは、嫌われないように生きる癖です。無理な集まり、断れない頼み、他人の顔色に合わせる時間は、心を静かに削っていきます。次に、昔の自分との比較です。若さは戻りませんが、今の自分には見極める力があります。さらに「自分さえ我慢すれば」という習慣も、長く積もれば重荷になります。最後に、過去の失敗を何度も裁くことをやめるべきです。反省は必要でも、自己処罰は必要ありません。中村天風の言葉に通じる不動心とは、評価に心を明け渡さないこと。今の自分を認め、静かに手放す人ほど、晩年は穏やかになるのです。