北海の水を全部ダムでふさぐ――この言葉だけでも驚愕ですが、これは実際にドイツとオランダが提案した途方もない計画なのです。北欧のノルウェーとスコットランドの間に480キロ、そしてイングランドとフランスの間に160キロの巨大ダムを建設し、北海を完全に囲い込むことを目指しているのだとか。もしこれが実現すれば、北海は海ではなく巨大な湖へと姿を変え、バルト海は外洋との接続を完全に断たれるのです。現在、北海やバルト海は国際貿易にとって極めて重要な航路であり、多くの国々がその恩恵を受けています。しかし、この計画が進行すれば貿易ルートに甚大な影響を及ぼすのは間違いありません。さらに、計画に必要な莫大な建設費用や、ダム建設に伴う環境負荷、そして海面上昇による陸地への影響など、多くの課題が浮き彫りとなっています。それでもこの計画が提案され続けている背景には、気候変動による洪水リスクの抑制といった目的があると言われています。しかし、この「狂気の計画」は果たして現実となるのか――それは未だ議論の余地が残されています。