戦後日本政治における謎の権力者、辻俊子。彼女は「昭和の女帝」として知られながらも、政界の表舞台には決して立たず、秘書という立場で影響力を行使しました。辻俊子の権力の源泉は、戦前から戦後にかけて暗躍した父・辻火力にありました。父は中国大陸で莫大な資金を得て、日本自由党の結党資金を提供するなど、政治界の黒幕として政党運営を裏から支えました。その遺産を背負った彼女は、松谷秀治の秘書として政界入りし、次第にその抜群の政治的センスを発揮していきます。幹事長級の権力を持ち、選挙公認候補の決定など重要な役割を果たしていた辻は、吉田茂や池田隼人など歴代総理との密接な関係を築き、コーチ会を中心とした派閥争いを陰で支えていました。政局が揺れるたび、辻俊子の人脈が橋渡し役となり、派閥の生存や政権樹立に貢献したと言われています。また、戦後最大の汚職事件「造船疑惑」が発覚した際も、その堂々たる振る舞いが彼女の権力と影響力を証明する一幕となりました。父の遺した家名と資金力を背景に、彼女は秘書でありながら、閣僚級の存在感を放ちました。「辻幹事長」とまで称され、党内の調整や派閥間の戦略づくりに大きく関与しました。歴代総理に頭を下げさせるエピソードが語り継がれるほど、その影響力は桁外れでした。昭和から平成、そして令和に至るまで、辻俊子は政界の変動を見守り続けました。一階級の秘書でありながら、日本政治の裏舞台を動かしてきた彼女の人生に迫り、その背景にある辻家の秘密に迫ったドキュメンタリーが、日本政界の深層に光を当てる貴重な視点を提供しています。