1980年代に発生した「豊田商事事件」は、歴史に残る大規模詐欺事件として記憶されています。金の先物取引や純金ファミリー証券、ゴルフ会員権、さらにはダイヤモンド販売など、多岐にわたる事業を偽装し、多くの高齢者を中心とした顧客から巨額の資金を騙し取る仕組みが確立されていました。実際には金の現物を購入せず、顧客に架空の「預かり証」を発行。営業マンたちには過酷なノルマが課せられ、営業テクニックとして嘘も方便と教えられる徹底したマニュアル方式が採用されました。この事件では、高齢者が特に狙われ、営業マンたちは老人会の名簿を基に無差別に電話をかけたり、一人暮らしの高齢者の信頼を得るために家庭に入り込み時間をかけて関係を築き、最終的に契約を迫るという手口を多用しました。また、社内での疑惑も浮上し内部告発が行われたものの、会社の拡大とマスコミへの巧妙な印象操作で被害は拡大。弁護士らの調査により金の実態を伴わない詐欺の実態が暴かれ、次第に社会問題化しました。事件のクライマックスでは、豊田商事の長野和夫会長が多くのマスコミが見守る中、暴漢によって襲撃され死亡するという衝撃的な結末を迎えます。豊田商事事件は、壮大な詐欺スキームとその背後に潜む社会の闇、そして暴力が絡む悲劇を通じ、日本の企業倫理や消費者保護に一石を投じる事件となりました。