成人式を控えた娘のために、母が大切に用意してくれた振袖が夫の手によって無残に切り刻まれてしまった。理由は「平等にしろ」とのこと。しかし、この行動は全く理解できない理不尽さであった。私たちの平穏な日々は、一瞬で崩れ去った。いつもは温厚で滅多に怒らない母が、静かに立ち上がり裁ちばさみを手にした。その目には決して消えない怒りが宿っていた。夫は母の行動に驚き、今までの自信満々な表情を失い、視線を逸らす。この出来事をきっかけに、私たちは勇気を出して行動を起こすことに決めた。義弟や弁護士の力を借り、母の振袖を切った夫を法的に追及した結果、彼は全てを失うこととなった。それでも母は一度も誰も傷つけることなく、ただ静かに裁ちばさみを置いて、私たちを守ってくれた。