元指導員の私が、これまでの教習で特に印象深かった教習生たちの話を綴ります。それぞれの体験から、教習所での思い出や成長の軌跡をご紹介します。まず、一人目は155センチにも満たない身長の女性教習生。彼女は普通自動車のマニュアル免許を持っていましたが、二輪車の経験は自転車程度。足が地面に届かないほどの身長でCB400スーパーフォアに挑戦していました。停止時には足がつま先しかつかず、発進や停車、取り回しで何度もバイクとともに倒れこむことに。しかし、彼女は諦めることなく、何度も挑戦を重ねました。彼女が頑張った理由は「普通自動車の指導員になる」という目標があったからです。挑戦を続けながら彼女は成長し、一歩ずつ夢に近づきました。次に、60代の男性教習生。この方は約40年ぶりのバイク挑戦。一本橋が苦手で、何度も試行錯誤しながら克服していきました。疲労を避けるため、時間を調整して教習を受け続け、ついには一本橋も無事合格。それぞれのペースで進む教習の面白さと難しさを感じさせられました。最後に、締切間際に奮闘した10代の男性。遅刻や欠席が多く、期限内での卒業が危ぶまれましたが、本人や親御さんと協力してついに卒業。免許取得後の感謝の言葉が、私たち指導員の最終報酬でした。教習は乗り越えることの連続。その困難が成長の足跡となるのです。