クトワ――平民出身ながら叩き上げで出世した、シャの配下の参謀。老け顔の二十七歳という設定がまず渋い。原作では、額の宝石飾りを「軍の記印草かなに似ている」と評され、行方不明の草名が戻ったときに「……生きてたのか。夢だった」とぼやくなど、淡い因縁を匂わせる。映画版でも“敵ではあるが単純に憎めない”距離感が残るのは、この機微の名残だろう。一方、クシャナはトルメキア帝国の強硬派軍司令官で武王の第四皇女、二十歳。名の由来には、中央アジアの王国名説と「ナウシカ」の綴り替え説がある。劇中で左腕を失い義手となっているのは映画独自の案で、別主人公案を巡る提案が宮崎監督に一蹴された逸話も、制作現場の緊張感を伝える。そして忘れ難いのがラステル。ペジテ市長の娘で十歳。捕虜として乗せられた大型船が虫に襲われ墜落し、ナウシカに看取られる。胸元を見たナウシカが厳しい表情をしたのは、鉄骨で胸が押しつぶされていたから――直接描けない残酷さが、観る者の想像を刺す。ラステルの服を着せられたナウシカを撃てなかった青年の逡巡は、彼女が市民に慕われていた証でもある。