新入生の親たちが緊張と期待で胸を膨らませる中、入学式の式典が無事に終わり、親同士が軽く挨拶を交わしていると突然、担任教師が壇上で一言。「これからPTA役員を決める会議を行います。」会場にざわめきが走る。「え?まだ何も説明を受けていないのに?」と困惑する声があちこちから漏れた。会議が始まると、流れるように進む役職説明と名簿作成の指示。誰も手を挙げない重苦しい空気の中、一人の母親が意を決して発言した。「PTA入会は任意ですし、まずは意思確認が先ではないでしょうか?」その瞬間、場の空気がピリついた。教師は少し戸惑いの表情を見せたが、ほかの親たちからも「確かに」と賛同の声が続いた。これを機に、PTA活動の目的や役員の具体的な役割についての説明がようやく始まり、ようやく保護者たちも納得の上で話し合いが進むことになった。彼女の勇気ある一言は、流れ作業的だった会議を建設的な場へと変えるきっかけとなり、親たちの信頼を集めることになったのだった。