父の葬儀が終わって一ヵ月後、兄から突然電話が来た。「貧乏人を家から追い出したから今すぐ迎えに来い」と冷酷な言葉が私の耳に飛び込んできた。母を家から追い出したなんて信じ難い話だが、兄はそれを事実だと主張した。父の遺産が残らなかったせいで、兄は無情にも母を厄介者扱いして追い出したのだ。急いで実家に向かうと、庭には途方に暮れる母の姿があった。兄は家を相続したと主張する書類を見せるが、母には父が家を譲った事実がない。母は絶望の中で、「なら私のタワマンで暮らしましょう」と微笑んで言ったのだ。驚きの私たちを前に、実は母が不動産投資を成功させていたことを知った。こうして私たちは母のタワーマンションで新しい生活を始めた。兄夫婦が豪邸の維持費に悩み、私たちの幸せを見て愕然とする姿が痛快だった。母と夫との幸せな日々を大切にしながら、私はさらに親孝行を誓った。