1990年代、バイク業界は熾烈な競争の時代に突入していました。特に日本の大手メーカーは、次々と新モデルを投入する一方で、市場のニーズと合致しなかったために短命に終わった問題作も少なくありませんでした。その中でも特に記憶に残るのが、ヤマハの「ルネッサ」でした。ヤマハは、ホンダの「クラブマン」に対抗するため、独自性を求めて「SRV250」を基に開発されたルネッサを1996年に発表しました。スタイリッシュなカフェレーサースタイルで、革新的なデザインを打ち出したものの、搭載されたVツインエンジンは「力不足」と評され、バイク愛好家の期待を裏切る結果に。さらに市場では既存の人気モデルに埋もれ、販売数は伸び悩みます。「なぜ売れなかったのか?」という疑問が今なお語り継がれるルネッサ。その背景には、時代の流れと競争の激しさが影響していました。