山本竜一、35歳。母の墓前で「もう一度挑戦する」と手を合わせる俺の姿は、これまでの苦しい人生と深く結びついている。15年前、総合格闘技の世界に身を投じた俺は、「沈黙のドラゴン」という異名を得たが、大会直前に母を失い、引退の道を選んだ。それ以来、平凡な社員としての日々を送っていた。そんな日常が一変するのは、ある夜のことだった。繁華街で絡まれる女性を目撃し、思わず昔培った柔道の技でチンピラを投げ飛ばしたことで、「ただの社員」ではない自分が露呈してしまう。それをきっかけに、チンピラの一人、新田という若者に格闘技の師匠として見込まれることとなる。無駄な争いを繰り返す彼に、「力は大切なものを守るためにある」と説きながら、俺の過去と向き合い始めた。しかし、新田の父こそ、俺がかつて引退に追い込んだ対戦相手、森崎幸四郎だった。それを知った新田は、父の仇を取るためさらに強くなりたいと猛然と俺に挑んできた。過去の罪に向き合いながら俺は再びリングに立つ決意をし、新田の挑戦を受けることを決めた。そして、母への誓いを胸に、再び新たな舞台に足を踏み入れる――。