高橋一生は、その人生の幕開けから波乱に満ちた運命を背負って生まれました。十八歳という若さで彼を出産した母親は、離婚と再婚を繰り返し、四人の弟たちが増えていく中、裕福だったはずの赤坂の家庭は次第に困窮していきました。母親の浪費癖と失敗続きの事業のため家計は破綻、息子の高橋は近所に金を借りに行かされる日々を過ごします。

さらに辛いことに、母親からの言葉の暴力に耐えながら、幼少期から芸能活動を始めていた高橋は、自分の車まで勝手に売られたことでとうとう限界を迎えます。一時は母との絶縁を選んだ彼も、十年以上が過ぎたある日、弟から受けた母の病の知らせに病院を訪れることに。そこで母親から「ごめん」と謝罪され、「もう大丈夫、弟たちとなんとかする」と答えた瞬間、彼は一つの長い章を閉じました。母の死後、高橋は自ら弟たちの面倒を見続け、彼らを立派に育て上げたのです。