クルマの運転技術、いわゆる「ドラテク」は、時代とともに変化してきました。現代のクルマは、進化した安全技術やサポート機能を備え、初心者でも安心してドライブが楽しめるようになっています。しかし、かつてはドライバー自身の技術が求められ、その運転スキルがクルマの性能を最大限に引き出す鍵となっていました
1.ダブルクラッチ
最初に紹介するのは「ダブルクラッチ」。これは、特にマニュアルトランスミッションのクルマで多用された技術で、今ではあまり見かけなくなりましたが、当時はスムーズなシフトチェンジには欠かせない技術でした。ダブルクラッチとは、シフトダウンする際に、一度ニュートラルでクラッチを踏み、エンジン回転数を合わせてからもう一度クラッチを踏むというテクニックです。
この技術は、エンジンとトランスミッションの回転数を同調させることで、スムーズなギアチェンジを可能にし、トランスミッションの負担を軽減します。上手に決まれば、回転数がピタリと合い、まるでクルマが「喜んでいるかのような」感覚に包まれると言われています。運転席に座り、シフトレバーを握りしめ、ブレーキとアクセルを微妙に操作しながらクラッチを踏む瞬間、ドライバーの集中力が研ぎ澄まされます。
今ではオートマ車が主流となり、ダブルクラッチの必要性もなくなりましたが、このテクニックはクルマを心から愛するドライバーにとって、ひとつのステータスだったのです。
2.ヒールアンドトゥ
「ヒールアンドトゥ」とは、ブレーキング中にアクセルをあおり、エンジン回転数を合わせながらシフトダウンするテクニックです。サーキットやワインディングロードなど、コーナーが続く道での運転に特に効果を発揮し、熟練したドライバーにとっては、エンジン音とともにリズム感あるドライビングを楽しむことができる技術でした。
この技術はブレーキを踏みながら、同時にアクセルを軽く踏む必要があり、右足のかかととつま先を使い分けることから「ヒールアンドトゥ」と呼ばれています。正確なタイミングで踏み分けなければ、エンジン回転数が合わず、クルマがガクガクと不安定になってしまうため、ドライバーの集中力と練習が要求されます。スムーズに決まったときの喜びは、他のどんな運転テクニックにも代えがたいものです。現在のクルマはブレーキ性能が向上し、オートマチック車の普及で「ヒールアンドトゥ」を使う機会も少なくなりましたが、この技術を習得しているドライバーは、いまだに誇りを持っていることでしょう。
3.サイドブレーキターン
「サイドブレーキターン」、あるいは「サイドターン」とも呼ばれるこのテクニックは、駐車場や狭い道でクルマを素早く方向転換させる際に使用されたテクニックです。ハンドブレーキを引き、後輪をロックさせることで、クルマの向きを変えるというものです。
サイドブレーキターンは、特に滑りやすい路面での効果が高く、リアをコントロールしながらクルマを旋回させるため、スポーツカーのドライバーやラリー競技者に好まれました。もちろん、一般のドライバーが公道で頻繁に使うわけではありませんが、クルマの性能をフルに引き出し、旋回力を活かしたいときにはとても便利なテクニックです。しかし、この技術は路面状況やタイヤの摩耗状況にも大きく依存するため、熟練した感覚と慎重な判断が必要です。最近では、クルマのサイドブレーキも電子制御化され、レバー式ではなくボタン式が主流となっているため、このテクニックを使う機会も限られてきましたが、かつては「カッコよさ」として語り継がれた技術のひとつです。
4.カウンターステア
最後に紹介するのは「カウンターステア」です。これは、クルマがコーナーを曲がる際、後輪が滑り始めたときに、ステアリングを逆に切って滑りをコントロールするテクニックです。
この技術は特にドリフト走行や雪道での運転で重要とされ、クルマの挙動をしっかりと把握し、リアルタイムでの修正が求められます。
カウンターステアがうまく決まると、まるでクルマと一体化したかのような感覚が味わえるのです。ドライバーは、瞬時にリアタイヤの動きを感じ取り、アクセルを微妙にコントロールしながらステアリングを切り返します。スムーズに流れるようなドリフトは、熟練の証でもあり、見る者を魅了するシーンでもあります。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=LACi2OrQ5_0,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]