嵐の夜、空は命をかけた決断を下した。彼の任務はいつものように、危険な状況下での救助活動だった。しかし、その夜、彼の目の前に現れたのは、過去の記憶から消えることのなかった存在―子猫、黒だった。かつて、川辺の小さな家で共に過ごした空と黒。異なる種でありながら、二匹は家族のように暮らしていた。だが、突然の洪水で家が流され、黒は行方不明に。その時、空の心には強烈な喪失感が残り続けた。その夜、空が川の捜索に出発した際、隊員たちは彼の行動に驚愕した。命令を無視し、目指す先はただ一つ―黒を探すこと。その目は決して迷いなく、かつての家を探し続けた。そして、ついに黒を発見した空は、命がけで濁流に飛び込む。彼の必死な泳ぎが、二匹の再会をつかんだ瞬間だった。無事に岸にたどり着いた時、空は全身を震わせながらも、決して黒を離さなかった。彼の行動は、命令に従ったものではなく、心の命令に従った結果だった。その無言の愛は、全員の心に深く刻まれ、二匹は救助隊の誇りとして新たな家族を迎えることになった。