主人を失った冷たい冬の朝、小さな犬コロは、深い悲しみに包まれながら町の墓地に佇んでいた。主人である墓守の老人を慕い、彼と共に過ごす穏やかな日々が急に終わりを告げたその日、コロは老人の棺を必死に追いかけた。人々に引き剥がされながらも、彼が運ばれた先で眠りにつくまで寄り添うその姿は、孤独と絶望に満ちていた。その後、コロは老人の墓のそばを新たな「家」と決めた。激しい嵐の日も、厳寒の冬の夜も、焼けるような日差しの下でも、彼はその場を決して離れなかった。「主人が戻ってくる」。その希望だけがコロを支える灯であった。周囲の人々は次第に忠実な小さな犬の存在に気づき、食べ物や水を運んだ。家へ迎え入れようとする人もいたが、彼は夜には静かに墓へ戻っていった。彼にとって、主人のそばだけが唯一の安住の場所だった。何年も経ち、コロの毛並みは荒れ果て、歩く姿も弱々しくなっていった。しかし、その瞳の奥にある「待つ」という一途な思いだけは揺るがなかった。夕暮れの雨の日、とうとう彼の体は静かに地面に倒れ、やがて長い眠りに落ちた。翌朝、彼は冷たくも穏やかな表情を浮かべたまま、主人のそばで静かに息絶えていた。その知らせが街中に広まると、人々は胸を打たれ、彼を主人の墓に埋葬することを決めた。さらに職人がコロの像を掘り、その墓のそばに設置した。それ以来、人々は墓地を訪れるたびに像の前で足を止め、コロの愛と忠誠に静かに敬意を表し、物語が永遠に語り継がれることとなった。