新幹線の中、私の隣に座る奥様がずっとブルブル震えている。最初は寒いのかなと思ったけど、エアコンは快適そのもの。それにしても、この震えは尋常じゃない。「大丈夫ですか？」と思わず声をかけてみた。彼女は小さく頷くけど、眼差しはどこか遠くを見ている。何かを恐れているようなその表情に、私の心もざわついた。やがて、彼女はぽつりぽつりと話し始めた。どうやら、初めて新幹線に乗るらしい。それに、今日は人生を変えるような大事な用事があるとのこと。話すうちに、少しずつ震えも治まり、最後には微笑んでくれた。「頑張ってくださいね。」私は心からそう伝えた。彼女の笑顔に、自分の心も軽くなった。隣で知らない奥様が震えていた、そんな出来事も新幹線の旅の一部になった。