園遊会での出来事は、報道されていない一つの“奇跡”があった。愛子さまと漫画家のちばてつやさんが交わした会話は、その背後にある深い物語を明らかにした。春の園遊会で、愛子さまはちばさんの漫画について、ただ内容を語るだけでなく、その描き方にまで言及した。ちばさんはこの深読み力に驚かされたが、同時に嬉しさを感じた。愛子さまは、単なる読者を超えて、作品を再構築する力を持つ批評者であり、哲学者でもあるといえる。彼女の誠実なまなざしは、作品を消費するのではなく、対話するものであり、それがちばさんに深い感動を与えた。そして、もう一つの感動の瞬間が訪れた。戦後、昭和天皇の皇后から受け取った一つのおにぎり。ちばさんは、その白いおにぎりが命を救ったことを、七十九年後に皇族に感謝する機会を得た。長い年月が経ったが、記憶は失われることなく、彼の人生を支え続けてきた。このような感動的な出来事が、園遊会という場で静かに語られる。それは過去と現在を結ぶ、静かなる対話の場であった。この“奇跡”の光景は、マスコミが沈黙する中で、心を打つ瞬間だった。