寒い冬の日、少年は息も絶え絶えの痩せた子犬を見つけた。枯れた草むらの中で震えるその命を、彼は自分のマフラーにくるみ、優しい言葉で温めながら家へ連れて帰った。少年の家では犬を飼うことは禁じられていたため、彼はその犬に「コロ」と名付け、裏庭の古い箱を隠れ家として与えた。そして毎日、自分の限られた食事を分け与え、コロを元気にした。彼らはいつも野原で遊び、互いにかけがえのない親友となった。しかし数年が過ぎ、少年は都会へと旅立つことを余儀なくされた。その日、別れを告げられたコロは必死で少年を追いかけたが、彼の姿は次第に消えていった。それからコロは家の周りで少年を待ち続け、多くの季節を孤独の中で過ごした。10年後、少年は大人となり故郷へ戻る途中、車の事故で崖から転落してしまう。意識を失いつつも、懐かしい犬の声が遠くから聞こえた。それはコロだった。老いた体にも関わらず、コロは崖へ飛び降り、懸命に彼の命を救おうとした。森中に鳴き声を響かせ、キャンプ中の人々を呼び寄せたのだ。彼は無事救助され、目を開けると疲れ果てたコロがそばに寄り添っていた。その瞬間、彼は幼い日の記憶と共に、コロが10年もの間待ち続けていた事実を知った。「もう君を一人にはしない」と涙を流しつつ誓った。その後、コロは温かい寝床と十分な愛情を与えられる日々を取り戻し、二人は再び幸せな時を過ごした。