玄関を開けると、ミケがじっと私の顔を見つめてきた。その目には「この状況、危険かどうか教えて」と訴えるような光があった。みかんを置くと、ふいっと顔を背ける。猫にとって酸っぱい匂いは、腐った肉と同じ「警戒対象」なのだという。そんなミケが額をぐいっと押しつけてきたとき、胸がじんと温かくなった——これは「大好き」のサインらしい。体を斜めにしてぴょんぴょん飛び跳ねたり、スリッパに鼻を突っ込んだりする姿も、すべてが本能の現れ。土下座のように寝そべるのは、まぶしさからの防御。そして、ふわっとお尻を向けてくるとき——それは「あなたを信じてる」という、猫なりの愛情表現。猫の仕草一つひとつに、こんなにも深い心理が隠れているとは、思いもしなかった。